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名古屋地方裁判所 平成7年(ワ)2186号 判決 1996年6月28日

愛知県西春日井郡西春町大字九之坪南町一八番地

原告

有限会社全日商

右代表者代表取締役

板倉弘昌

大阪市中央区南船場四丁目一〇番二八号

原告

シャープ産業株式会社

右代表者代表取締役

小林勝喜

右両名訴訟代理人弁護士

宮道佳男

同右

後藤昌弘

右輔佐人弁理士

広江武典

東京都葛飾区高砂一丁目四番三号

被告

三共理研株式会社

右代表者代表取締役

野田賢治

右訴訟代理人弁護士

吉武賢次

同右

神谷巖

右輔佐人弁理士

上村輝之

同右

宮川長夫

主文

一  原告らの請求をいずれも棄却する。

二  訴訟費用は、原告らの負担とする。

事実

第一  当事者の求めた裁判

一  請求の趣旨

1  被告は、別紙物件目録記載の製品を製造し、販売し、販売のために展示してはならない。

2  被告は、原告有限会社全日商に対し、金一〇〇〇万円及びこれに対する平成七年六月一八日から支払済に至るまで年五分の割合による金員の支払をせよ。

3  被告は、別紙謝罪広告目録記載の謝罪広告を、表題並びに原告有限会社全日商及び被告の社名を四号活字とし、その他を六号活字として、本判決確定の日から三日間、日本国内において発行する朝日新聞、読売新聞及び日本経済新聞に掲載せよ。

4  訴訟費用は、被告の負担とする。

5  第2、第3項につき仮執行宣言

二  請求の趣旨に対する答弁

主文と同趣旨

第二  当事者の主張

一  請求の原因

1  実用新案権に基づく請求原因

(一)(1) 板倉弘昌は、次のとおり実用新案権(以下「本件実用新案権」といい、その考案を「本件考案」という。)の登録を受けた。

登録番号 第一八九六六七五号

考案の名称 Vメガホン

出願年月日 昭和六一年七月三〇日

出願公告年月日 平成三年五月七日

登録年月日 平成四年三月二四日

実用新案登録請求の範囲

「半円錐状に形成せしめた二個のメガホン本体を、一点にて連結具にて開閉自在に連結せしめたことを特徴とするVメガホン」

出願公告内容 別紙実用新案公報記載のとおり

(2) 原告シャープ産業株式会社(以下「原告シャープ産業」という。)は、平成七年三月一四日、板倉弘昌から本件実用新案権を譲り受け、同年五月二九日、その旨の登録を受けた。

(3) 原告有限会社全日商(以下「原告全日商」という。)は、右譲渡に際し、原告シャープ産業から本件実用新案権につき通常実施権の設定を受けた。

(二) 本件考案の構成要件は、次のとおりである。

A 半円錐状に形成せしめた二個のメガホン本体を

B 一点にて連結具にて開閉自在に連結せしめた

C Vメガホン

(三) 本件考案の作用効果は、次のとおりである。

(1) 通常のメガホンとしても使用できる。

(2) 二個のメガホン本体を開閉させることにより、打撃音を発生することもできる。

(四) 被告は、平成六年一二月から、別紙物件目録記載のメガホン(以下「イ号物件」という。)を製造・販売している。

(五) イ号物件は、次のような構成上の特徴及び作用効果上の特徴を有している。

(1) 構成上の特徴

a 半円錐状に形成せしめた二個のメガホン本体を

b その基端部を筒状の連結具にて束ねるように連結せしめ、二個のメガホン本体の間の連結具に接近した部位に設けた突起を互いに当接させることにより、メガホン本体の先端部を徐々に拡開させ、先端部において数センチメートルの隙間を形成した

c メガホン

であることを特徴とする。

(2) 作用効果上の特徴

<1> 通常のメガホンとして使用できるとともに

<2> メガホン本体の可撓性を利用してその先端部を開閉させ、打撃音を発生することもできる

ことを特徴とする。

(六) 本件考案とイ号物件との比較

(1) 構成要件の対比

<1> 構成要件aは、構成要件Aと同一である。

<2> 構成要件bは筒状の連結具となっているが、これは「二個のメガホン本体を開閉自在に連結」して、本件考案における前記作用効果を得るための一手段に過ぎず、現実に、右連結具により、二個のメガホンの可撓性を利用して、イ号物件の先端側が開閉可能な状態になっているから、構成要件Bを充足する。

<3> 構成要件cは、構成要件Cと同一である。

(2) 作用効果の対比

イ号物件においては、通常のメガホンとして使用できるほか、二個のメガホン本体の間の連結具に接近した部位に設けた突起を互いに当接させることにより、メガホン本体の先端部を徐々に拡開させ、先端部において数センチメートルの隙間を形成させており、メガホン本体の可撓性を利用して打撃音を発する作用効果を有するから、本件考案と同一の作用効果を有する。

(3) したがって、イ号物件は、本件考案の技術的範囲に属する。

2  不正競争防止法に基づく請求原因

(一) 原告全日商は、昭和六二年五月頃から「Vメガホン」の製品名にて原告製品の製造販売を開始した。

(二) 原告製品の形態上の特徴

(1) 半円錐状に形成せしめた二個のメガホン本体を

(2) 基端部に接した部分で開閉自在に連結し

(3) 外観上、二本のメガホンが合体した形態を有する

ことを特徴とする。

(三) 原告製品の周知性

原告製品は、販売直後から諸々のスポーツ応援グッズとして注目を集め、販売開始の翌年である昭和六三年には近鉄バッファローズ球団にキャラクター商品として採用され、その後、プロ野球全一二球団にキャラクター商品として採用された。

また、高校野球・ラグビー等あらゆるスポーツの応援グッズとして主導的な地位を占めるようにもなり、現在までの販売累計は九〇〇万個にも上る。原告も新聞・雑誌等において積極的に広告活動を行ってきており、原告製品は、遅くともイ号物件の製造販売の開始された平成六年一二月までには一般大衆において広く周知されるに至った。

(四) 被告は、平成六年一二月より、イ号物件の製造販売を行っている。

(五) 被告製品の形態

(1) 半円錐状に形成せしめた二個のメガホン本体を

(2) その基端部を筒状の連結具にて束ねるように連結せしめ、二個のメガホン本体の間の連結具に接近した部位に設けた突起を互いに当接させることにより、メガホン本体の先端部を徐々に拡開させ、先端部において数センチメートルの隙間を形成し

(3) 外観上、二本のメガホンが合体した形態を有する

ことを特徴とする。

(六) 原告製品とイ号物件との比較

(1)<1> 両者ともに、半円錐状に形成せしめた二個のメガホン本体から構成されている。

<2> 両者ともに、半円錐状に形成せしめた二個のメガホン本体が基端部にて連結されている。

<3> 両者ともに、外観上二本のメガホンが合体した形態を有する。

(2) 更に、より詳細に両者を比較検討すれば、以下の点が指摘できる。

<1> 両者ともに、メガホン本体の開口部付近に四本の帯状の突起が形成されている。

<2> 原告製品においては、各メガホン本体の連結部から筒口にかけて多数の帯状の突起が形成されているが、イ号物件においても、各メガホン本体の連結部付近及び筒口を形成する連結具に帯状の突起が形成されている。

<3> 両者ともに、二個のメガホン本体の互いに接する部分において凹部が形成されている。

<4> 両者ともに、各メガホン本体の筒口に近い部分に各一箇所環状の突起が形成され、右環状の突起に紐が通されている。

(3) 両者の差異としては、右連結の方法において、原告製品が連結具により連結されているのに対し、イ号物件は筒状の部材に挿入して連結されている点において僅かな差異があるが、これは微細なものにすぎず、両者の外観形状においては二つに分かれたメガホン部分がその外観の大半を占めているところ、この点については全く同一であり、看者に対して同一の印象を与えるものである。

(七) 被告の販売方法

被告は、原告全日商が原告製品をプロ野球のキャラクター商品として販売して好評を博したことから、その販売方法も模倣し、原告全日商が従来独占的な地位を占めていたプロ野球の各球団に対してキャラクター商品としてイ号物件の売り込みを行い、また、原告全日商が契約交渉を進めていたサッカーのJリーグに対してもキャラクター商品としての販売交渉に割って入るなど、原告製品と全く同一のユーザーを対象として販売活動を行っている。

(八) 以上のとおり、原告製品が周知性を備えていること、原告製品とイ号物件とが外観形状においてほぼ同一であること及びイ号物件が原告製品と全く同一のユーザーを対象としていることからして、被告は、原告製品とイ号物件との間に意図的に誤認混同を生じさせている。被告の行為は、原告全日商がこれまで培ってきた社会的信用にただ乗りする行為であって、意図的に消費者を欺くものである点において極めて違法性の強い行為である。

(九) 損害

被告は、故意に右(四)の製造・販売行為をなし、本訴を提起した平成七年六月六日までに少なくとも五万本のイ号物件を製造し、販売している。

イ号物件の販売価格は一本金七〇〇円であるところ、その製造原価は多くとも一本金三〇〇円を上回らず、また、その一般管理費は一本当たり金一〇〇円を超えるものではない。よって、被告がイ号物件の製造販売により挙げた純利益は、一本当たり金三〇〇円を下らず、本訴を提起した平成七年六月六日までの六箇月間に挙げた総利益額は、金一五〇〇万円を下らない。そして、被告が得た右利益額は、商標法三八条一項の規定の類推適用により、全額、原告全日商が受けた損害の額と推定される。

更に、原告全日商は、右のような営業上の損失を被っているのみならず、被告の右(四)の製造・販売行為により、その社会的信用が著しく失墜させられている。

3  よって、被告に対し、原告シャープ産業は実用新案法二七条に基づき、原告全日商は不正競争防止法三条に基づき、それぞれイ号物件の製造・販売の禁止を求めるとともに、原告全日商は、被告に対し、不法行為による損害賠償として、右損害金の内金一〇〇〇万円及びこれに対する損害発生後である平成七年六月一八日から支払済に至るまでの民事法定利率年五分の割合による遅延損害金の支払をすること並びに原告全日商の信用回復のため別紙謝罪広告目録記載の謝罪広告を掲載することを求める。

二  請求原因に対する認否

1(一)  1(一)は、そのうち、(1)(2)は、認める。(3)は、知らない。

(二)  1(二)は、認める。

(三)  1(三)は、否認する。

(四)  1(四)は、認める。

(五)  1(五)は、(1)のうちa、cは、認めるが、bは、否認する。(2)のうち、<1>は、認めるが、<2>は、否認する。

(六)  1(六)は、否認する。

2(一)  2(一)は、知らない。

(二)  2(二)は、否認する。

(三)  2(三)は、不知ないし争う。

(四)  2(四)は、認める。

(五)  2(五)は、そのうち、(1)は、認め、(2)(3)は、否認する。

(六)  2(六)は、そのうち、(2)は、認め、その余は、否認する。

(七)  2(七)は、否認する。

(八)  2(八)は、否認する。

(九)  2(九)は、否認ないし争う。

3  3は、争う。

三  被告の主張

1  実用新案権に基づく請求について

イ号物件は、以下のとおり、本件考案の構成要件Bを欠き、その技術的範囲に属さない。

(一) イ号物件の構成を詳述すれば、次のとおりである。

<1> 全長数十センチメートルの半円錐状に形成せしめた弾性変形可能な二個のメガホン本体を

<2> その基端から先方へ数センチメートルにわたる部分を筒状の吹き口具にて束ねるように連結せしめ、かつ、、二個のメガホン本体の間の連結された部分より一センチメートル程度先方の部位に設けた突起を互いに当接せしめることにより、メガホン本体の間を先端に向けて徐々に拡開させ、最先端において数センチメートルの隙間が定常的に維持されるようにした

<3> メガホン

(二) 本件考案とイ号物件との対比

(1) 両者ともに、半円錐状に形成した二個のメガホン本体を連結した点では共通する。

(2) 二個のメガホン本体を連結した態様について、構成要件Bによれば、本件考案は「一点にて連結具にて開閉自在に連結」している。

ここで「一点」とは、厳密な物理的な意味は、「長さも面積もない極小のもの」であるが、実際には長さも面積もないものを具現化することは不可能であるから、本件考案においては、二個のメガホン本体を連結するのに長さや面積の影響を生じさせないような、実質的に点と見なせる連結形態を意味すると解釈される。

また「開閉自在」とは、一般的な用語の意味は、「抵抗も支障もなく開きかつ閉じることができる」である。後述するように、本件実用新案公報の作用効果欄には、「メガホン本体を指先にて開閉ならしめ得る」とか「V型に開いた状態にて安定した状態にて定置可能である」といった記載があるが、このような機能は、二個のメガホン本体が何の抵抗も支障もなく自由に開きかつ閉じることができるが故に得られる機能である。

更に、右のように解釈した「一点」と「開閉自在」とは矛盾ない因果関係を構成している。即ち、二個のメガホン本体を、長さや面積が影響しない、実質的に点の部分で連結しているが故に、二個のメガホン本体は抵抗も支障もなく開きかつ閉じることができるのである。

以上の考察から、本件考案の構成要件Bは「一点で結びつけるような形態の連結具をもって連結することにより、束縛も支障もなく開閉する状態を実現した」ということを意味するものと解釈すべきである。そして、このような構成であることによって、本件考案は、後述するような作用効果を奏することが可能となるのである。

(3) これに対し、イ号物件は、メガホン本体の基端から先方へ数センチメートルにわたる部分が連結されている上、そのような連結形態のため、メガホン本体が自然な形状として基端から先端まで完全に閉じ合った状態になろうとするのを、二個のメガホン本体の間の連結された部分より一センチメートル程度先方の部位に突起を設けて互いに当接せしめることにより、この突起の付近でメガホン本体を僅かに外方へ歪ませて、先端に向けて徐々に拡開させ、最先端において数センチメートルの隙間を形成している。そして、弾性力による抵抗を受けるため、この隙間も数センチメートルという定開度で維持されるものであり、それ以上に開いた状態も閉じた状態も定常的に維持することはできない。

以上のとおりであるから、イ号物件は、二個のメガホン本体を「一点にて」連結したものでもないし、また、「開閉自在に」連結したものでもない。

なお、イ号物件は、二個のメガホン本体の間の連結された部分より一センチメートル程度先方の部位に設けた突起を互いに当接させているが、これは突起を互いに「当接」させただけであり、分離可能であるから、「連結する」(=分離しないように結びつける)に該当しない。

(4) また、本件考案の作用効果上の特徴は、公報の記載によれば、次のとおりであり、請求原因の記載では言い尽くされていない。

<1> メガホン本体がV型に形成されていることにより、従来のメガホン本体と比較して、より広角的な拡声効果を具備する(以下、これを「本件考案の効果<1>」という。)。

<2> 二個の半円錐状のメガホン本体を指先にて開閉ならしめたときの打撃音にて拍子木としても使用可能なさしめる。特に、従来のメガホンには全く予想だにしなかった連結具を支点として、指先等にて開閉ならしめることにより発生する打撃音にてより効果的な拍子木としての機能をもたらす(以下、これを「本件考案の効果<2>」という。)。

<3> V型に開いた状態にて安定した状態にて定置可能として、室内装飾品としても使用できる(以下、これを「本件考案の効果<3>」という。)。

<4> 球場等に応援時に携帯し、勝利のVサインにも使える。勝利のシンボルマークVを連結する形状に形成してあることにより実用的な価値のみならず、装飾的な価値をも発揮する(以下、これを「本件考案の効果<4>」という。)。

本件考案は、右の四つの効果のすべてを奏するものであり、右四つの効果のすべてを必ず奏する物件のみがその技術的範囲に属するように、本件実用新案登録請求の範囲中の技術的事項は確定されなければならない。

(5) これに対し、イ号物件は、

<1> 先端が数センチメートル程度開いた状態を定常的に維持し、この開き幅はメガホンの数十センチメートルの全長と比較すると僅かなものであるから、イ号物件の全体的な形状はV型ではなく、むしろ従来のメガホンと同様の円錐型であり、その拡声効果も、従来のメガホンと同程度である。

<2> 弾性力による抵抗を受けるため、指先で押して閉じた程度では、メガホン本体は勢いよく閉じないから、拍子木のような十分な音量の打撃音を発生させることはできない。また、メガホン本体をいったん閉じた後、メガホン本体は自らの弾性力で元の開度まで開くのであって、使用者の指先で開くのではないし、元の開度から更に開かせることも指先の力では全く無理である。

<3> 最先端が数センチメートル程度開いた、全体として円錐型の形状を定常的に維持しており、V型に開いた状態を定常的に維持することはできない。

<4> メガホン本体をV型に開くためには、使用者にとって十分負担と感じる程度の大きな力を加える必要があり、また、明確なV型にするために大きく開くとメガホンが連結部分で破損するおそれもあるから、V型に開いた使用態様は通常行われない。

(6) 以上のとおり、イ号物件は、本件考案の構成要件Bに該当せず、その結果、本件考案の四つの作用効果のいずれも奏することができないものであるから、本件考案の技術的範囲に属さない。

2  不正競争防止法に基づく請求について

(一) 周知性

原告製品の形態が、原告製品の出所標識として周知であるとは認められない。

(二) 形態の非類似

(1)(イ) 原告製品の外観形状は、「く」の字にくびれた半円錐状に形成せしめた二個のメガホンを該くびれた箇所で背中合わせに一点で開閉自在に連結した形状であり、メガホンが「く」の字にくびれているところから、全体形状はY形状となり、逆に吹口部を開けば、先端側が閉じ、全体形状はY形状となる。また、なかば開いた状態では、「く」の字が背中合わせにくっついたX形状となる。

(ロ) また、原告製品は、「基端部に接した部分で開閉自在に連結した形態」であり、この形態は、意匠法六条五項のいわゆる「動的意匠」と同じく、製品の有する機能に基づいて形状が変化する点に大きな特徴がある。

(2)(イ) これに対し、イ号物件はまっすぐな半円錐状に形成せしめた二個のメガホンを先端側を若干開いた形で背中合わせとし、吹口具で束ねるように連結した形状であり、メガホンは「く」の字にくびれていない。

(ロ) また、イ号物件は、二本のメガホンが開閉自在になっていないから、製品の有する機能に基づいて形状が変化するようにもなっていない。

(3) その他、原告らが請求原因2の(六)(2)で指摘する類似点は、もともとほとんど目立たない形状であるか、あるいは目立たない位置に設けられた形状であるから、形態上の特徴とはいえない。

(三) 以上のとおり、原告製品には周知性がないし、また、イ号物件と原告製品とは外観形状が全く異なるから両者がその外観形状により誤認混同されるおそれも絶無であり、したがって、イ号物件の販売行為は不正競争行為に該当しない。

四  原告らの反論

1  被告の主張1について

(一) 本件考案の先行技術には、「半円錐状に形成せしめた二個のメガホン本体をその基端にて連結せしめ、その先端側を互いに打ち付けることによる打撃音にて、拍子木としての機能をもつ」という本件考案の基本的構成と、その構成による作用効果について開示・示唆するものは全く存在していない。

本件考案は、このような基本的構成と、その構成による優れた作用効果により、新規性・進歩性が認定されたものであるから、本件考案の技術的範囲の実質的内容(本質的部分)を判断するに際しては、この画期的な作用効果の有無を第一に考慮すべきであり、具体的実施態様上の微差及び考案の構成要件についての表現態様にのみ判断の重点を置くべきものではない。

(二) ところで、本件考案の構成要件Bは、その文言上、二個のメガホン本体を「一点にて」→「開閉可能に連結せしめた」

「連結部にて」→「開閉可能に連結せしめた」

という修飾関係にある。

すなわち、構成要件Bは、「二個のメガホン本体が基端側にて連結部にて支持され、先端側が開閉する際には必然的に基端側のいずれかの一点が開閉中心(開閉の際の支点となる部分)として作用する」という意味に理解される。そして、この構成を具体化した一実施例として、ピンによる連結具にて二個のメガホン本体を開閉自在に連結せしめたものが明細書に記載されているのである。

(三) 他方、イ号物件は、二個のメガホン本体の基端部を連結する連結部が筒状であるという具体的実施態様上の相違があるものの、右連結手段により、二個のメガホン本体の可撓性を利用して、その先端側が現実に開閉可能なのであり、「半円錐状に形成せしめた二個のメガホン本体をその基端部にて連結せしめ、その先端側を互いに打ち付けることによる打撃音にて、拍子木としての機能をもつ」という本件考案の基本的構成に含まれるか、実質的に同一である。

(四)(1) 作用効果についても、本件考案の、従来のメガホンと全く異なる、最も本質的で画期的な効果は、「二個の半円錐状のメガホン本体を開閉させて打ち合せることにより拍子木としての機能を有する」点なのであり、実用新案登録による保護もまさにこの点に向けられるべきであって、その余の効果については付随的な効果に過ぎないものである。

この点、イ号物件が、二つのメガホン本体同士を打ち合せて打撃音を発生させることができるものであることは現実の使用態様からも明らかであり、この点からも、イ号物件は本件考案の技術的範囲に属するものである。

(2) 更に、個別的に検討してみても、イ号物件は、

<1> 二個のメガホン本体の先端側が拡開していることから、従来のメガホンと比較して、より広角的な拡声効果を具備することは明らかである。

<2> メガホン本体は、弾性変形によりその先端側を容易に互いに打ち付けることができるものであり、「メガホン本体を開閉ならしめたときの打撃音にて、より効果的な拍子木としての機能」を持つ。

<3> 二個のメガホン本体の先端側が拡開した状態で基端部の口具により安定した状態にて定置可能であり、屋内装飾品としても使用できる。

<4> 二個のメガホン本体の先端側が拡開した状態であるため、「勝利のVサイン」にも使用できる。

右のとおり、イ号物件は、程度の差こそあれ、本件考案のすべての作用効果を具備しているものである。

(五) 以上述べたとおり、イ号物件が本件考案の基本的構成を具備し、その本質的効果を含む本件考案のすべての作用効果を奏していることは明らかであるから、イ号物件は、本件考案の技術的範囲に属する。

2  被告の主張2について

(一) 原告製品は、二本の半円錐状のメガホンが一体となっている点にこそ、外観上の特徴があるものである。この点に関する被告の主張は、瑣末な差異をことさらに強調するものである。

(二) いわゆる「動的意匠」とは、変化前の状態から変化後の状態が予測できないような形態を有するものをいうのであり、原告製品においてもイ号物件と同様にその形態の変化の前後の様子が容易に予測できるものである点でなんら相違しない。即ち、イ号物件においても、二つの半円錐状のメガホン本体が互いに打ち合わされて打撃音を発する際に、瞬間的にではあるがその可撓性を有するメガホン本体の機能に基づいて形態の変化を生じているのであって、この点において原告製品とイ号物件の形態が非類似であるとは言えない。

五  被告の再反論

(原告らの反論1について)

1 本件考案の構成要件について

原告らによる構成要件Bの解釈は、「一点にて」という文言を、「いずれかの一点が開閉中心として作用する」と解釈することによって無意味ならしめ、更に、「開閉自在」を「開閉可能」に置き換えるなど、無理な文言解釈を行い、本件考案の技術的範囲を不当に拡張している。

本件考案の構成要件Bは、前述のとおり、「一点で結びつけるような形態の連結具をもって連結することにより、束縛も支障もなく開閉する状態を実現した」という意味に解釈されるべきである。

2 イ号物件の効果について

(一) 本件考案の効果<1>は、「二つのメガホン本体が、両者が近接している円錐型ではなく、先端側で十分に大間隔をもって分離された明確な『V型』を形成することにより、従来より広角的な拡声効果を奏する」ことであると解されるべきである。これに対し、イ号物件は、円錐状の本体外周面の開き角度において従来のメガホンと実質的に同等であるから、そのような効果を奏することができないことは明らかである。

(二) 本件考案の効果<2>は、「メガホンを通常に手に持った状態において、その持った手の指先でメガホン本体の連結具付近を操作してメガホン本体を開いたり閉じたりすることにより、打撃音を発生させてより効果的な拍子木としての機能をもたらす」ことであると解されるべきである。そして、イ号物件は、メガホン本体を手でたたく、腕に打ち付ける等の方法で外側から強い打撃力を与えることにより打撃音を発生させるものであり、手で持った通常の状態において、その持った手の指先でこれを開閉して打撃音を発生させることはできない。

(三) 本件考案の効果<3>は、「二つのメガホン本体が、先端側で十分に大間隔をもって分離されて明確な『V』の形を形成した状態に、定常的に維持されることにより、安定した状態で定置可能で、かつ、室内装飾品の価値ももつ」という意味に解釈されるべきである。そして、イ号物件は、従来のメガホンと同様な円錐型の形状で定置しておくことしかできないものであるから、本件考案の作用効果<3>を奏することができない。

(四) 本件考案の効果<4>を奏するためには、被応援者たるフイールドの選手が数メートルないし数十メートル先の応援スタンドを見たとき、メガホン本体が明確に『V』の字の形を呈していることが認識できなくてはならないから、二つのメガホン本体が、先端側で十分に大間隔をもって分離されて明確な『V』の形を形成した状態で、定常的に維持されていなければならない。しかるに、イ号物件は、既に述べたように『V』の形を定常的に維持することはできず、V型にするためにメガホン本体を無理に開くと破損するおそれもある。したがって、イ号物件は、本件考案の効果<4>も奏することができない。

(五) 以上のとおり、イ号物件は、本件考案の<1>から<4>までのすべての作用効果を奏し得ない。

六  原告らの再反論

(被告の再反論1について)

本件考案において、「開閉自在」との文言は、「先端部において隙間を有する二つの半円錐状のメガホン本体を打ち合せて打撃音を発生させることが可能である」という意味において、「束縛もなく支障もなく開閉する」ものであれば足りるものであり、その点では、本件考案もイ号物件も同一のものである。また、本件考案の連結具もピンに限られない。

被告の本件考案についての解釈は、不当に限定的であり、恣意的であって、到底容認できない。

第三  証拠

本件訴訟記録中の書証目録の記載を引用する。

理由

一実用新案権に基づく請求原因について

1  本件考案の構成要件が、

A  半円錐状に形成せしめた二個のメガホン本体を

B  一点にて連結具にて開閉自在に連結せしめた

C  Vメガホン

であること、及びイ号物件が構成要件A、Cを充足していることについては当事者間に争いがない。

また、本件考案の作用効果として、明細書には、

<1>  二個の半円錐状のメガホンを指先にて開閉ならしめたときの打撃音にて、拍子木として使用可能である。

<2>  V型に開いた状態にて安定した状態にて定置可能であり、室内装飾品としても使用できる。

<3>  球場等に携帯し応援時に、勝利のVサインとしても使用できる。

<4>  メガホン本体がV型に形成されていることにより、従来のメガホン本体と比較して、より広角的な拡声効果を具有する。

という、四つの作用効果が記載されている。

2  そこで、すすんで、イ号物件が構成要件Bを充足するかについて判断する。

(一)  構成要件Bの意義

(1)  構成要件Bは、前述のとおり、「(半円錐状に形成せしめた二個のメガホン本体を)一点にて連結具にて開閉自在に連結せしめた」ことをその内容とする。

(2)  ところで、言葉のもつ通常の意味からすれば、右にいう「一点」とは「長さや面積の影響を生じさせないような、実質的に『点』とみなすことができるもの」を意味し、「開閉自在」とは「抵抗も支障もなく開きかつ閉じることができること」を意味するものと解するのが相当である。

そして、構成要件Bの「一点にて」、「連結具にて」、「開閉自在に」はいずれも「連結せしめた」に係り、「一点にて」は連結の場所的限定を、「連結具にて」は連結手段の限定を、「開閉自在に」は連結状態の限定を、それぞれ加えているものと解するのが相当である。

そして、明細書においては、半円錐状に形成された二個のメガホン本体をピンにより開閉自在に連結したものが、本件考案の実施例として示されている。

(3)  更に、本件考案は、右のような構成であることによって、右1において記載した<1>ないし<4>の作用効果を十分に発揮することができるものである。

すなわち、

<1> 二個のメガホン本体が「一点にて」連結されているため、指先で開閉することが自在となり、開閉の際のメガホン本体間の打撃音にて、より効果的な拍子木としての機能を発揮する。

<2> 二個のメガホン本体が「一点にて」「開閉自在に」連結されているため、メガホン本体をV型に開いた状態を定常的に維持することが可能であり、これによって、室内装飾品としての使用もできる。

<3> 二個のメガホン本体が「一点にて」「開閉自在に」連結されているため、メガホン本体をV型に開いた状態を定常的に維持することが可能であり、これによって、球場等での応援等に際し、勝利のVサインにも使用することができる。

<4> 二個のメガホン本体が「開閉自在に」連結されているため、メガホンを開いた状態において「V型」を形成し、これによって、従来のメガホンに比し、より広角的な拡声機能を奏する。

(4)  以上のとおり、構成要件Bを右(2)のように解釈することは、言葉の解釈として最も自然である上、明細書に開示した前記各作用効果や実施例の記載とも十分に符合するものである。

これに反する原告らの解釈は、構成要件Bの記載から読み取れる客観的に可能な意味の範囲を逸脱しており、採用することができない。

(二)  イ号物件の構成

(1)  そこで、イ号物件について見るに、検甲第二号証、検乙第一、第二号証によると、イ号物件について、次の事実が認められる。

<1> 半円錐状に形成された弾性変形可能な二個のメガホン本体(長さ約二八センチメートル)とこれらを挿入する筒状の吹き口具(長さ約八センチメートル)を必須の構成要素としていること。

<2> 二個のメガホン本体の平面状の部分を対向させた上、その基端の両端を当接させ、かつ、各メガホン本体の平面状の部分の基端から先端方向に約五センチメートルの位置に各一個設けられている突起を当接させていること。

<3> 右のような状態の二個のメガホン本体を、基端の方から右筒状の吹き口具に挿入することにより、連結していること。

<4> 右突起の当接部分は、吹き口具から先端方向に約一・五センチメートルのところに位置し、右のような三点の当接構造により、二個のメガホン本体が基端の方向から先端の方向に進むに従って拡開していること。

<5> その開きの程度は、先端で約三センチメートルであり、それ以上、開く構造とはなっていないこと。

<6> メガホン本体が弾性変形可能となっているので、右突起の当接部分より先端部分において、指先で力を加えた場合には、それにより、二個のメガホン本体の平面部分を一部接触させ、それによって打撃音を生じさせることができること。

<7> しかし、右のように接触させる行為は、メガホン本体の弾性による抵抗を排しながら行わなければならないため、勢いよく行うことはできず、その結果、それによって生じる打撃音は、拍子木による打撃音のように十分な音量にならないこと。

<8> 右のように接触させた後、指を離すと、メガホン本体は、自らの弾性により、直ちに元の開いた状態に戻ること。

<9> したがって、イ号物件では、応援等のための効果的な音を出すには、筒状の吹き口具を握った上、メガホン本体を手の平、腕等に急激に打ち当て、それによって、二個のメガホン本体を急激に接触させ、打撃音を生じさせる必要があること。

(2)  右に認定したところによると、イ号物件が「一点にて」連結せしめた構造になっておらず、また、「開閉自在」になっていないことは、明らかである。

そして、その結果として、イ号物件では、指先により開閉させたときの打撃音により拍子木として使用可能という本件考案の重要な作用効果を発揮することができない。

したがって、イ号物件は、構成要件Bを充足していない。

3  以上のとおりであるから、イ号物件は、本件考案の技術的範囲に属さない。

二 不正競争防止法に基づく請求原因について

1  原告製品の形態について

検甲第一号証と弁論の全趣旨によれば、原告製品は、本件考案の実施品として製造販売されており、その構造、形態は、ほぼ別紙実用新案公報の考案の詳細な説明における実施例と図面とに記載のとおりであることが認められる。

また、検甲第一号証によると、原告製品の連結部分から先端までの長さは約二四センチメートルであり、連結部分から基端までの長さは約七センチメートルであること、各半円錐状のメガホン本体は、連結部分において「く」の字型に曲がっており、それによって、基端側を閉じると先端側が約一四センチメートル開いて、大きな「V」の字を形成し、先端側を閉じると基端が約四センチメートル開いて、小さな「V」の字を形成する形態になっていることが認められる。

2  イ号物件の形態について

イ号物件の形態は、右一2(二)(1)に判示したとおりである。

3  そこで、原告製品とイ号物件についてその形態を比較するに、原告製品は、「く」の字型の二個のメガホン本体が連結部分を中心として容易に大きく開閉して、先端側、基端側がそれぞれ、正に「V」の字を形成するようになっており、その点が形態として大きな特徴となっているのに対し、イ号物件では、二個のメガホン本体が筒状の吹き口具に挿入されて固定されており、先端部分の開きが約三センチメートルであるため、全体として見たとき、その形態が「V」の字であり、あるいは、それが「V」の字に開くという印象をほとんど与えない上、原告製品にはない筒状の吹き口具が二個のメガホン本体を束ねる部分として、また、メガホンの握り部分として、看者の注意をひく形態になっている。

したがって、原告製品とイ号物件とは、二個の半円錐状のメガホンからなるという点では類似している部分があるが、右のように看者の注意をひくその余の部分が大きく異なっており、全体としてみれば、両者の形態が類似しているとはいえない。

4  したがって、その余の点について判断するまでもなく、イ号物件の製造・販売は不正競争行為に当たらず、これを前提とする不法行為も成立しない。

三 以上のとおり、原告らの請求は、いずれも理由がないから、これを棄却することとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法八九条、九三条一項本文を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 岡久幸治 裁判官 森義之 裁判官 鈴木和典)

物件目録(イ号)

メガホン

但し、添付写真の形状のもの

<省略>

<省略>

<省略>

撮影年月日 平成7年5月22日

撮影者 原告代理人弁護士後藤昌弘

謝罪広告目録

弊社は、愛知県西春日井郡西春町大字九之坪南町一八番地有限会社全日商が製造し販売している「Vメガホン」に類似するメガホンを製造販売し、右全日商の製品と誤認混同を生ぜしめる行為を行い、同社の信用を毀損致しました。

右事実についてここに掲載致しますと共に、有限会社全日商に対し謝罪の意思を表します。

平成 年 月 日

東京都葛飾区高砂一丁目四番三号

三共理研株式会社

右代表取締役 野田賢治

<12>実用新案公報(Y2) 平3-20879

<51>Int.Cl.5G 10 K 11/08 識別記号 庁内整理番号 8842-5D <24><44>公告 平成3年(1991)5月7日

<54>考案の名称 Vメガホン

<21>実願 昭61-116967 <55>公開 昭63-24600

<22>出願 昭61(1986)7月30日 <43>昭63(1988)2月18日

<72>考案者 板倉弘昌 愛知県西春日井郡師勝町大字二子字栄和48-7

<71>出願人 板倉弘昌 愛知県西春日井郡師勝町大字二子字栄和48-7

<74>代理人 弁理士 西山聞一

審査官 井上正

<54>参考文献 実開昭62-197198(JP、U)

<57>実用新案登録請求の範囲

半円錐状に形成せしめた2個のメガホン本体を、1点にて連結具にて開閉自在に連結せしめたことを特徴とするVメガホン。

考案の詳細な説明

〔考案の目的〕

産業上の利用分野

本考案は競技の応援時等に使用せしめ、メガホンとしての使用のみならず、拍子木および勝利のサインとして、又室内装飾品としても使用出来る様にしたVメガホンに関するものである。

従来の技術

従来、競技の応援時等において使用するメガホンとしては円錐形に形成されたものが知られているが、かかるメガホンは拡声器としての利用と、メガホンと手の平との打撃音にての拍子木としての  を行っているに過ぎず、変化性に乏しいものが実情であった。

考案が解決しようとする問題点

本考案は拡声器としての利用のみならず、拍子木および勝利のサインとして、又室内装飾品としても使用出来る様にしたVメガホンを提供せんとするものである。

〔考案の構成〕

問題点を解決するための手段

本考案はかかる点に鑑み、半円錐伏に形成せしめた2個のメガホン本体を、1点にて連結具にて開閉自在に連結せしめたVメガホンを提供して上記欠点を解消せんとするものである。

作用

半円錐状に形成せしめた2個のメガホン本体を、1点にてピン等の連結具にて連結させ、開閉自在としたことにより、2個の半円錐状のメガホンを指先にて開閉ならしめた時の打撃音にて拍子木としても使用可能なさしめ、又V型に開いた状態にて安定した状態に定置可能として室内装飾品としても使用出来る様にし、又球場等に応援時に携帯し、勝利のサインのVサインにも使える様にしたものである。

実施例

以下本考案の一実施例を図面に基づいて説明すると、

1はプラスチツク製にて一体的に成形せしめたメガホン本体であり、該メガホン本体1は半円錐状に形成めしめると共に先端部2に渉るに従い拡大なるテーパー状に形成せしめ、その基端部3側には上方に拡開せしめて口部4を形成せしめている。

そして本考案にあつては、かかるメガホン本体1を2個平担面5、5a同士を相合せしめることにより円錐状のメガホンを形成することとなり、又2個のメガホン本体1をその基端部3側をピン等の連結具6にて開閉自在に連結せしめている。

尚、7、7aはメガホン本体1の円弧部に対称的に突設せしめた摘部である。

次に本考案に係るVメガホン本体の作用について説明すると、

半円錐状に形成せしめたメガホン本体1を、2個その平担面5、5a同士を相合せしめれば従来のような円錐形のメガホンを形成することとなり、又2個の半円錐伏のメガホン本体1を指先にて開閉ならしめた時の打撃音にて拍子木としても使用可能なさしめ、又V型に開いた状態に安定した状態に定置可能として室内装飾品としても使用出来る様にし、又球場等に応援時に携帯し、勝利のサインのVサインにも使えるのである。

〔考案の効果〕

要するに本考案は、半円錐状に形成せしめた2個のメガホン本体1を、1点にて連結具6にて開閉自在に連結せしめたので、2個の半円錐状のメガホン本体1を指先にて開閉ならしめた時の打撃音にて拍子木としても使用可能なさしめ、又V型に開いた状態にて安定した状態に定置可能として室内装飾品としても使用出来る様にし、又球場等に応援時に携帯し、勝利のサインのVサインにも使え、又メガホン本体1がV型に形成せしめていることにより従来のメガホン本体1と比較して、より広角的な拡声機能を具有するのである。

そして特に本考案においては、従来のメガホンには全く予想だにしなかつた連結具6を支点として、指先等にて開閉ならしめる事により発生する打撃音にてより効果的な拍子木としての機能を持たらせ、勝利のシンボルマークVを連結する形状に形成してあることにより実用的な価値のみならず、装飾的な価値をも発揮する等その実用的効果甚だ大なるものである。

図面の簡単な脱明

図は本考案の一実施例を示すものにして、第1図は本考案に係るVメガホンの断面図、第2図は他の方向より見た断面図、第3図は同上X-X断面図である。

1……メガホン本体、5、5a……平担面、6……連結具。

第1図

<省略>

第2図

<省略>

第3図

<省略>

実用新案公報

<省略>

<省略>

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